おはようございますこんにちはこんばんは。ビズタスク編集長のSeinaです。
リズミカルな音楽に合わせて女子高生やExile風の男性がダンスを披露して、自己承認欲求を満たすアプリTikTok。はっきり言って、見ていてあまり心地良いものではないけど、何となく見てしまう。
そんな偏見を持ち、どんなことがあっても自分が動画投稿をすることは無いだろうなと思っていた。
しかし、現在のTikTokは、見て楽しい動画ではなく、見て学べる動画がトレンドになっているらしい。
友人から誘いを受け、TikTok社員が主催する勉強会に参加してきた。発足から2年を経過したTikTokがどのような変化を遂げて現在に至るか。また、その活用法についてレクチャーを受けた内容をまとめた。
TikTok(ティックトック)は、Bytedance社(北京字節跳動科技有限公司)によって、2016年9月に誕生した。日本でのサービス開始は2017年8月。日本に進出してようやく丸2年が経過したという状況だ。
日本でTikTokが流行ったのは、突如としてYouTubeの広告に登場し、“うざいYouTube広告のアプリ”として話題を集めた。Bytedance社の使命は“誰もがスマートフォンを使ってクリエイターになれる”こと。
対応地域は150国、75言語で利用され、アクティブユーザー数は1000万人を超える。因みにインスタグラムのアクティブユーザー数が800万人らしく、どれだけTikTokが影響力のアプリかが分かる。
勉強会ではBytedance社の社員2名と、パートナー企業のマーケ担当者が出席。社員が語るTikTokの強みと特徴は以下の3点だ。
1.誰でもクリエイターになれる
使命の通り、誰もが簡単に動画投稿をできるというのが特徴だ。専門知識が無くても、撮影した動画に、豊富な楽曲とスタンプ(ステッカー)、機能を組み合わせることでイケてる動画がすぐに作れる。
2.テクノロジーの独自性
TikTokはこのアルゴリズムが非常に優れているらしい。その人の趣味、思考に合わせてAIが学習し、ユーザーが潜在的に関心度の高い動画を自動でおすすめしてくれるのだ。
TikTok投稿者、いわゆるTikTokerはいいね数、コメント数、視聴時間、シェアの回数他様々な指標を基にアルゴリズムに評価され、ユーザーのおすすめ欄に表示される。社員が特定のTikTokerを意図的におすすめ表示させることは100%無い。
3.短尺動画に特化
TikTokの動画は15秒が限度。よくTikTokはYoutubeと比較される。クリエイター側から両者を様々な角度から数値化して比較すると以下のような点で違いがある。
撮影時間:2時間
編集時間:2時間
音源挿入時間:1時間
投稿時間:30分
再生回数:1万再生
登録者数:1.5万人
撮影時間:10分
編集時間:3分
音源挿入時間:1分
投稿時間:1分
再生回数:15万再生
フォロワー:10万人
上記はBytedance社が提供した事例のため、上記が“モデルケース”として適切かどうかは定かではない。しかし、動画投稿のハードルという点でTikTokが圧倒的に勝っていることは間違いない。
Bytedance社は以下3点の環境変化により、さらにTikTokの需要が高まると主張している。
1.5G通信によるコスト低下
通信環境が改善されることによって、動画を読み込み再生するまでの“間”が限りなくゼロに近づいていく。
2.若者のテレビ離れ
テレビで情報を得る必要性がどんどん無くなっている時代。インターネットからテレビを見る時代に復活するシナリオはどんな経済評論家でも描けないだろう。
3.スマホ時間の増加
学校教育の現場でもスマホをノート代わりにしている学生が非常に増えているらしい。
加えて、納得したのは“縦向き動画需要の増加”だ。YouTubeは基本的に横画面対応。しかし、スマホの形状は長方形。縦向き動画の方が間違いなく動画として見やすい。
YouTubeをスマホで見るときは小さな画面で見るか、スマホを横に傾けて全画面で見る人がほとんどだろう。TikTokの動画は縦向きに作られているため、環境の変化が自社の追い風になると捉えているようだ。
TikTokと言えばダンス動画。様々な楽曲に合わせて、インフルエンサーから芸能人、YouTuberから一般の高校生まで様々な人物が踊っている動画を一度は見たことがあるだろう。
確かに今でもダンス動画はアプリ内で溢れている。がしかし、最近のトレンドは全く異なっていると社員は語る。
主なトレンドとして紹介されていたのは、ペット、教室、旅行、スポーツ、料理。15秒という短尺の中に、クリエイターが工夫を凝らして様々な情報を発信している。
カテゴリーとは別にどういう軸で撮られた動画がトレンドになっているかも紹介された。
一つは“専門性×有益性”の動画だ。ダンス動画は誰でも簡単にできて、見て楽しいということから考えると“一般性×娯楽性”で正反対のコンテンツになる。
TikTok勉強会でも紹介された下記の動画はなんと20万再生、1300いいね84のコメントがついている。
私は目を疑った。15秒という時間の中で伝えているのは「資産はお財布にお金を入れてくれるもの、負債はお財布からお金を奪っていくもの」これだけなのだ。
因みに、この方のTwitterやYouTubeに上がっている動画も拝見したが、両SNS共さほどフォロワー数や登録者数がいるわけではない。つまり、元々はさほど影響力が無かった方が、TikTokでバズったことになる。
そして、もう一つはVlog。これはVideo×Blogを組み合わせた言葉で、動画で自分の日常を投稿するというものだ。
アプリを見ていただければわかるが、特別インパクトのある動画を取っていない平凡な動画が多いという印象。自分が食べたランチ、お祭りの様子、海ではしゃぐ、そんな日常を共有している動画に万単位のいいねが付く。
この違和感はぜひアプリを見て体感して欲しい。これは私の主観だが、Youtubeと比較するとユーザーとの距離感が近い印象がある。だからこそいいねやコメントがしやすく、コミュニケーションを図りやすいことも要因の一つだと仮説を立てている。
これらのトレンドを見て分かる通り、私たちが知っているTikTokは元々知っているイメージを残しつつも、幅を広げ新たな方向性に向かっていることは明白である。
せっかくの機会なので質問をぶつけてみた。
“TikTokユーザーの年齢層の推移が知りたいです。サービス発足当初と現在、そしてこれからの予想を教えていただけますか?”
マーケ担当者の方は言葉を選んで丁寧に答えてくれた。要約すると
・サービス発足当初は、デジタルネイティブ世代が中心だった
・そこから年齢層が推移したというより、年齢の幅が広がった。アクティブなシニアも利用している
・これからは、もちろん全ての層に対して利用してもらえるのが理想。年齢層や性別という視点ではなく、横幅を広げて展開していく
具体的な統計データは恐らく持ってはいるが、敢えて言葉を濁してうまく切り抜けた、と私は感じた。さすが仕事が出来るオーラ全開のマーケ担当者である。
年齢層という軸でなく、横幅を見ているというのは貴重な学びで有益コンテンツやVlogをはじめとした新しい“切り口”で市場を大きくしていくという狙いがあることは間違いないようだ。
勉強会の中では、TikTokを活用したマーケティング、マネタイズについても触れられていた。
TikTokで儲けるためには?というお題で考えると現時点での私の知識量で考えられるのは、自らがインフルエンサーとなって広告モデルになるか、美容院や飲食店といった特定の業種の集客に繋げるという2パターン。
視覚と聴覚を刺激することによって自社ビジネスに動員できる可能性のあるビジネスは非常に魅力的だが、それ以外ではまだまだ厳しいなと感じた。
ただし、TikTokでバズっている学べる系TikTokerのTwitterやYouTubeがさほど盛り上がっていないことから推測したに過ぎないので根拠は薄い。
でも、試してみる価値はあると思う。テストマーケティングが簡単にできて、即リアクションが来るので比較的に労力と時間をかけずに検証できるのは魅力的な点だろう。興味のある方は試してみても良いかもしれない。
私もオウンドメディアとTikTokをどう組み合わせるか考えているのだが、いまいちピンときていない。試した時にはぜひそれも記事にしようと思う。
TikTokは“陽キャ×ダンス”専用アプリだけでは無くなった。2年という期間でこれだけのユーザーを取り込んだことで、様々なことをユーザーに仕掛けることができる。
TikTok勉強会には20-30代と思わしき比較的若い世代から、小さなお子さんを連れたママさんまで幅広い方が参加していた。今回の勉強会を通して、また新たなTikTokerが誕生するのだろう。
私もTikTokの仕掛けと、ユーザーのトレンドを観察をしつつ、折を見てTikTokにチャレンジしたいと思った次第である。
最後までお読みいただきありがとうございました。