テレアポ、それは電話によってアポイントを取る営業行為。苦手とする方も非常に多く、飛び込み営業と並んで、営業マンのストレスが非常に溜まると感じる方も沢山いるでしょう。それは何故か?シンプルにアポイントが取れないからです。
私は、投資商材のテレアポ営業を2年間にわたって100,000件掛け続けました。運が良かったこともあり、トップセールスを記録し会社の歴史上で最速の昇格を果たすという結果も残すことができました。今回は、数をこなして分かった様々なポイントや傾向を紹介していこうと思います。
私が所属していた会社では、いわゆる投資信託のような商材を扱っていました。最低金額は1口10万円からで、当然損失が出ることもあるが、大体1年間の平均利回りが10%前後出てますよ~というのがアピールポイントでした。
そして何より会社の知名度が一切なく、証券会社ではなくあくまで投資商材を扱っているだけの民間企業だった為、相手の反応はすこぶる悪く怪しまれるのが基本、というような商品力が乏しい商材でした。
テレアポをやるなら、自社と相手にどんな接点があるかはとても重要ですよね。ただ、私が所属していた会社では東京都の電話帳に上から順番に1件ずつかける、という恐ろしくアナログな方法でテレアポ営業を行っていました。
因みに、会社からそれ以外の営業方法は許可されず、会社にいた全員が同じやり方で担当区域を持ち、電話帳に沿ってひたすら電話をかけまくるという日々を延々繰り返しておりました。
トーク内容に個人差があるものの、私が行っていたトークはいたってシンプルなもの。「私●●会社の△△と申しまして、投資商品を扱っている会社なのですが、□□様は投資のご経験はございますか?」というオープニングトークから始まり、相手の投資経験や投資に対する印象、興味などを伺いながら雑談を交え関係性を深めていく。
大体20-30分程話したら、近くをよく回っているので挨拶させて欲しいとアポイントを切り出す。電話を終える間際に、住所や連絡先を確認して「もし、ご興味があったら商品の話も聞いてやってくださいね」と商品を検討しなければならない状態を作って電話を切る。
もちろん人によって話す内容は変えますが、大体トークの内容はみんな同じようなものでした。
大体1日に平均で600件ほど電話をかけていたのですが、その中である程度会話が繋がり、見込み客と呼べる人は大体3人位です。そして、その内大体1人がアポイントに繋がっていました。それを確率にするとなんと0.2%という数字です。
これがどのくらいの数値かというと、『250万円分のジャンボ宝くじを購入したときに2等賞が当たる確率』とほぼ同じです。いかに低い数値かが分かりますね。ただし、この600件には不在や留守電、電話番号が使われていないもの含まれているので、実際には一日に話すのは100人位といったところでしょうか。それでも1%ですから、非常に厳しい数値ですね。
少し上記と重複しますが、1日にかける600件のテレアポの内訳をまとめると以下のようになります。
不在、留守電、使われていない:500件(83%)
分かる人居ない、興味が無い、ガチャ切り、暴言を吐かれる等、会話が続かず終わる:90件(15%)
話は続くが、はっきりと断られる:7件(1.5%)
アポイントは取れなかったが20-30分程話が続いた:2件(0.3%)
アポイントが取れた:1件(0.2%)
というような具合です。
日中に自宅の電話番号に掛けて電話に出る人はどうしても客層が決まってしまいます。私が掛けていた時はほとんどがご年配者か主婦の方々でしたね。これはある程度今でも変わらないのではないでしょうか。私は年配者の女性を得意としていたので、50代前半から60代後半の女性のアポイントが圧倒的に多かったですね。契約も同じ層の方がほとんどでした。
私は約2年間で約30名の顧客を新規開拓し、約1億円お預けいただきました。確率にすると100,000分の30ですから0.03%、つまり3333件に1件ペースで契約を取っていたことになります。アポイント総数は100,000分の600ですから167件。
つまり、100,000件の結果をまとめると『2年間で100,000件のテレアポを行い、167件のアポイントを獲得し、30件の顧客を開拓して1億円売り上げた』というのが私の成果です。皆さんはこの数字を見てどのようにお感じになるでしょうか。
アポイント確率に、対して差は出ない
トップセールスを獲得してはいましたが、アポイント自体の確率は新人と比較しても極端な差はありませんでした。私が飛びぬけてアポイントを取れていたわけでもなく、どれだけトーク下手な人であってもせいぜい2-3倍程度の差だったと思います。
こんなことを言っては本末転倒かもしれませんが、そもそもこのご時世でテレアポ自体が非常に非効率的な営業手法であることをしっかりと受け止める必要があります。BtoCの営業で全く関係性が無いところに電話営業するという手法はハッキリ言ってナンセンス。
もし、自分だったら見知らぬ番号からかかってきた営業マンが紹介する商材を買いますか?まず買いませんよね。つまり、そういうことなのです。
もし、テレアポで成果を出すのであれば、リストの質(電話を掛ける先)を上げることを第一に優先すべきでしょう。当たり前ですが、自社のHP経由で問い合わせしてきた方にテレアポするのと、電話帳から無作為に掛けたテレアポの成果は当然違いますよね。トークスキルももちろん磨けば差は付きます。ですが、何よりも大事なのは数をこなすことだと私は考えています。
何故ならば、ほとんどの人は数をこなすことが辛く件数を掛けないからです。数をこなせばトークスキルは必然的に上がりますし、お客様の傾向や、どういう時に断られるのか、その対策も考えることができます。
結果を出していない人程、頭で考え、行動が追い付いていないのです。ですから私は、テレアポを『いい人を見つける旅』だと思って、パターン化されたトークと一定のテンションを保ってコツコツ掛け続けたのです。
また、発想を転換させ『いい人を見つけるために、リストから外す人を見つけよう』と思って電話をし、断られたら『いい人に出会う確率が高まった』と捉えていました。私たち、人間ですからそんなに1件1件全力で電話なんて出来ませんよ。だからほんの少しだけ肩の力を抜いてテレアポをすることをお勧めします。
テレアポで結果を出す人は、コツコツ電話を掛け続けられる人。これが私の中での絶対的な定義です。BtoCとBtoBでは多少異なってきますが根本的な考えは同じだと思っています。今の時代、個人の家からは電話機が無くなり、企業においては受付が担当者に電話を繋げてくれないという時代になりますます環境が厳しくなってきています。
テレアポの考え方をちょっと変えてみることはもちろんのこと、温度が高い見込み客にテレアポをできる状況をいかに作れるか、がこれからは問われているのではないでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございました。