「作業効率が悪く、生産性が悪い…」
「残業を是正するために、各従業員の業務を効率化したい…」
働き方改革をキーワードに、長時間労働の改善や有給休暇の取得率向上などが、あらゆる企業にとっての重要な課題となっているなかで、このように感じている方も少なくないはず。そして、このような課題を解決するために、まず必要となるのが“業務の棚卸”です。
今回は、そんな業務棚卸の方法と手順について解説していきます。
本来、“棚卸”とは商店や倉庫業などにおける用語として使われており、棚にある商品を卸して、数量と合計金額を算出することを意味します。
そこから転じて、業務改善において、棚卸(業務棚卸)という言葉は“業務の種類・内容・作業時間を可視化する”という意味で使われています。
では、具体的にどのような方法で業務棚卸を行うことができるのでしょうか?
たとえば、一般社団法人日本能率協会(JMA)が提唱している方法に業務体系表の導入があります。
これは、とてもシンプルで取り入れやすい方法です。
具体的には、大分類、中分類といった形で業務を段階的に細分化し、それぞれの業務が固定業務(いわゆるルーティンワーク)なのか、変動業務なのかを記入していきます。
そのうえで、細分化した個々の業務の課題を洗いだしていくという方法です。では、この業務体系表の作成を通じて業務棚卸を行う場合に押さえるべきポイントと手順をもう少し詳しくみていきましょう。
業務体型表を用いて業務棚卸を行う場合には、大分類として記載したそれぞれの業務について、実際の業務の流れに沿って、中分類・小分類にあたる業務の内容を洗い出していきましょう。
たとえば、「経費申請」という身近な業務についても、「担当者が申請書を作成する」→「申請書を上長に提出する」→「上長が申請書の内容を確認する」→「内容にしたがって承認、もしくは差し戻しを行う」というように、業務を細分化していきます。
記入した業務体系表を社内で共有しましょう。
そのうえで、記入項目に抜け漏れや誤りがないかを確認することが大切です。
そうすることによって、より正確性が高く、その後の業務改善にもつながりやすい形で現状の業務を棚卸しすることができるようになります。
また、業務体系表を作るときには、箇条書きにならないように注意しましょう。
箇条書きになってしまうと、それを見た社内の関係者が内容を理解できず、抜け漏れや誤りを指摘しづらくなってしまうからです。
そして、業務体系表の共有は、各業務に関するそれぞれの責任範囲を、改めて確認・共有するきっかけにもなります。
このような手順で業務体系表を作成することで、業務棚卸を行うことができます。
そして、業務棚卸が完了したら、いよいよ業務改善に向けた取り組みを行いましょう。業務体系表を確認し、業務効率改善や生産性向上を果たすために解消すべきボトルネックを見つけ出し、具体的な改善策を講じていくことが重要です。
今回は、業務体系表を用いた業務棚卸の方法と手順について解説しました。
冒頭で述べた通り、あらゆる企業にとって、業務効率化や生産性向上が非常に重要な課題になっています。
上記でご紹介した3つのポイントと同様に、業務棚卸の目的を意識して行うことや変化するシステムを、考慮しながら行うことがとても重要視されます。
そして、業務棚卸を行うことで、より業務を効率よく改善することにつながります。稼働時間などの把握もしやすくなるため、業務改善に置いて業務の棚卸の必要性はとても高いと言えるでしょう。