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承認プロセスの設計と見直し方法・手順について

企業ではさまざまな決定を行う際に、上司や役員からの承認というプロセスを経ます。この承認プロセスの設計は、意思決定ならびにビジネスのスピードを大きく左右することになります。そのため、業務改善のひとつとして、承認プロセスについて考えてみてはいかがでしょうか。承認プロセスの設計や見直すための方法、手順について具体的に紹介します。

企業における承認プロセスとは?

企業における承認プロセスは、ある事項の決定について会社として認めることを意味します。企業において、個人の独断によって物事を決定することはあまり好ましくありません。客観性を欠いた判断になってしまったり恣意的な判断によって全体の利益が害されてしまうことがあるからです。企業における承認プロセスは、組織が私有化されることを防ぎ、また客観的な視点を持ち込むことによって判断の精度を高めるために行われます。

加えて、決定における責任者を明確にする記録の意味もあります。企業における承認プロセスは、ある事項に対する決定について、その重要度に応じ、判断すべき立場の人全員が確実に情報に目を通し、適切な判断を行うための仕組みです。

企業の承認で起こりがちな問題

承認すべき事項が多すぎる
企業の承認の問題で多いのが、承認すべき事項が多すぎることによって、依頼側・承認側の両方において承認を得るための業務負担が大きくなってしまうことです。

承認が形式だけになっている

承認が形だけになっていて、依頼や資料の内容をほとんど読まずに承認されているケースも少なくありません。本来行われるべきチェックが行われていない状況は、企業の内部統制上問題があり、トラブル時には大きな問題になりかねません。

不必要に承認者が多い

承認に関わる人が多くなればどうしても承認に時間がかかります。承認者の中に不要な人が含まれていないか確認することも大切です。

承認に時間がかかりすぎる

承認業務が忘れられたり、後回しになってしまったりすることで、時間がかかることがあります。こうした状況が続くと、承認者への信頼が無くなり、予算ギリギリで分割して購入を行うなど承認を回避するようなモラルのない行動が生じかねません。承認がなければ従業員は動けませんので、ビジネスのスピードを左右する重要な問題と言えます。

承認プロセスの設計方法

承認するべき項目の決定と分類
まず、承認が必要と考えられる項目のリストアップを行います。そして、項目ごとに影響する範囲や、重要度、金額などの観点から分類して承認項目のグループを作ります。

承認者の決定

項目を分類し、グループができたら、次にそのグループごとに適切と思われる承認の権限を持つ人を考えていきます。承認者は組織の構造に従うのが基本ですが、情報システムや契約書類など、専門知識が必要な項目では役職がないとしても該当部署の担当者にも権限を与え、承認に参加してもらった方が良いでしょう。

承認プロセスの全体設計

承認者が決まったら、グループごとに承認のステップを作成してきます。各部門のリーダーが承認を行い、より広い範囲のマネジメントを行う役員などが続いて承認を行うように承認のステップを設計します。ステップによっては、複数人に同時に承認依頼を送り、全員の承認が揃ってから次のステップに移行する方が効率的です。

承認に関するルールの設計

どのような形で承認を行うのか、承認希望日のどのくらい前までに承認依頼を出すのか、期日まで承認も否認も行われない場合は承認扱いにするか否認扱いにするか、など細かいルールを決定します。

承認プロセスの見直し方法とその手順

1.承認すべき項目を見直す

まずは承認すべき項目を見直すところが大切です。この時、何となく項目を考えてしまわないで、記録をもとに考えてみましょう。重要度も低く、また機会もそれほど多くないような項目であればあえて承認にかける必要はないでしょう。また、承認者や現場の声を聞いてみて、承認が不要ではないかと思える項目についても再検討しましょう。

2.承認者を見直す

承認プロセスにおいては、承認者は必要最小限の人数にするのが鉄則です。誰が承認を行う権限を持つべきか、またステップ数は適切かなど、関係者の意見を踏まえて慎重に決定します。

3.ルールを見直す

制度上、使いにくいルールがあれば変えていく必要があります。やはり現場の声をしっかり聞いて、承認依頼の期日や、承認者の納期、スキップの際のルールなどを整備しましょう。

4.ツールを見直す

承認のために使うツールが適切かどうかも見直す必要があります。書類を回して承認を受ける場合もあれば、システムを利用した承認ワークフローを使用していることもあります。最近はクラウドベースの承認システムもあり、スマホなどで外出先から承認依頼や承認作業を行うことができ、承認作業の効率化に有効です。

5.定期的に見直す

どんなに承認プロセスを整備しても、完璧な状況になることはありません。ビジネス環境も組織の状況も変わりますので、その時々に合わせた形に整えていくことが必要です。定期的に見直して、必要な部分に手を入れていくよう計画的に業務に組み込みましょう。

まとめ

承認は企業にとって損失を防ぎ、利益を守るために重要な行動です。承認プロセスは、ビジネスのスピードや社内の雰囲気にも影響するため、定期的な見直しが求められます。承認プロセスやツールについて考えてみて、自社の業務改善につなげましょう。