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ラップバトルが再び文字や言葉の美しさを取り戻す。

おはようございますこんにちはこんばんは。編集長のSeinaです。

2019年に30歳を迎えた私が中学生だった頃、HIPHOPというものが流行り始めた。男子なら一度は悪そうな男に憧れ、かっこいいと思う時期があると思う。ご多分に漏れず私もその一人。

ダボダボのTシャツとジーンズを身にまとい、ベースボールキャップを被ってヘッドホンを付けて町を練り歩く。それだけで自分がちょっとだけ“カッコイイ大人”になったような気分になった。

YouTubeでは、HIPHOPの音楽に合わせてラップバトルをする動画が沢山アップされているのですが、私はすぐに虜になりました。。

思わずノリノリになるバトルもあれば、言葉の深さや重さにグッと心を掴まれるような感覚になるときも。今日はそんなラップバトルの魅力を素人目線でご紹介したいと思います。

ラップが再注目を浴びた背景や魅力

きっかけはAbemaTVのフリースタイルダンジョン

私がラップバトルにハマったきっかけは、AbemaTVというネット番組の人気企画「フリースタイルダンジョン」。

ZEEBRAが司会を務め、モンスターと言われる5人の精鋭にチャレンジャーが挑み、5人全員倒したら賞金100万円がもらえるという内容です。

これがモンスターの強いこと強いこと。こんな強すぎるモンスターを5人抜きするなんて一生できないんじゃないか?と思うくらい次々とチャレンジャーを返り討ちにしていきます。

1回のバトルごとに5人の審査員がジャッジをして勝敗を付けるのですが、自分の予想とは全く違った判定結果が出ることもよくあり、スマホ越しによく文句を言っていました。

そもそも、ラップとは?

ラップって何?って聞かれると説明が非常に難しい。Wikipediaには

ラップ (rap) とは、音楽手法、歌唱法の一つ。「韻律、リズミカルな演説、ストリートの言葉」を組み込み、バックビートや伴奏など様々な方法で唱えられる。ラップの要素には、「内容」(何が言われているか)、「フロウ」(リズム、韻)、「話し方」(終止、声調)が含まれる。ラップは、メロディをあまり必要とせず、似た言葉や語尾が同じ言葉を繰り返す、韻(ライム)を踏むのが特徴的で、口語に近い抑揚をつけて発声する。

とあります。HIPHOP=ラップでは無いのですが、HIPHOPとラップに密接な関連性があるのは確かなようです。

ラップバトルの魅力

ラッパーの方やリスナーの方からは怒られるかもしれませんが、私の解釈では「自分が伝えたいメッセージをリズムに乗せて上手いこと言う」のがラップだと思っています。

ラップバトルはその場で決めたBeat(音楽)に合わせて、交互にラップをしていきます。大体8小節を3ターンずつか16小節を2ターンずつ行うのが一般的。

当然そこには対戦相手同士の関係性が絡んだり、全くタイプが異なるラッパー同士のバトルがあったり、テニスで言うところのフェデラーとジョコビッチ、野球でいう阪神対巨人戦のような因縁の対決があったりと様々な見どころがあります。

私は当初、汚い言葉遣いしたり、ただ相手を罵り合ってるだけの低俗なものと思っている節がありました。しかし、そこには多くの魅力が詰まっています。

韻の魅力

ラップバトルの魅力の一つは、かっこいい韻(イン)を踏んだバトルの応酬なのですが、そもそも韻ってなんだかご存じですか?韻をイメージしていただくのにとてもわかりやすいのはダジャレでしょう。

いつもダジャレを言ってくる人っていますよね。私の小学校の担任は、休憩時間になるとよく「トイレに行っといれ」と連呼していました。

韻も非常に近いものがありますが、韻の定義は、2つ以上の文字の母音がすべて一致している状態を指すらしい。当然トイレと行っといれは言葉が同じなので母音も、お・い・えで一緒です。

例えば、小池・おしべ・おいで・夜逃げetcこれらは全て母音がお・い・えです。ただ好き勝手に自分の好きな言葉を並べてみても、あまり面白くはなりません。

例えばこれば文章になって、“小池”は“コミケ”の近くでラーメンを食べた“濃いめ”で。となれば文章として意味が通り、かつ韻を踏んでいるので聞き心地が良い、ということになります。

さらにノリノリな曲が合わさった状態でリズミカルに言えればもっとかっこいい!となるわけです。

即興で韻を踏む難しさ

ラップバトルにおける審査員の評価基準は明らかにされていませんが、判定要素は、リズムや韻を踏めているかという“フロウ”、もちろんその“内容”に加えて“即興性”もポイントになっています。

ラップバトルで使われる曲は、ものすごい沢山の種類がありますが、ラップバトルに適してる曲というのはある程度限られています。そうなれば、事前にある程度ラップの内容を仕込むことが出来てしまいますよね。

あまりにもフロウが奇麗すぎてばちばちに韻が決まりすぎると、「ネタくせぇ奴、ネタ仕込みやがって」と相手に攻め返されます。

それに、ラップバトルは交互にラップを披露していきますから、用意してきたネタを披露すれば必ず会話が成り立たなくなってしまいます。即興性が無く、内容が薄くなれば当然審査員のジャッジも厳しくならざるを得ません。

つまり、即興で考えたオリジナルの内容で、韻をばっちりと決めながら、リズム良くラップ出来る人が最強なのです。試しに、何かのリズムに合わせて韻を踏もうとトライしてみてください。ラップがいかに難しいかよくわかると思います。

ラップバトル界最強の呼び声が高い、R-指定

そんなラップバトルシーンにおいて、誰が最強かを議論した際に、R-指定を避けて通ることは出来ないでしょう。R-指定は、アーティストグループCreepy Nutsのボーカルで多数の楽曲をリリースしています。

ラップバトルを得意としており、UMBと言われる日本におけるラップバトルの最高峰の大会を3連覇するという前人未到の記録を立てたことでも有名です。

UMBの前身であるB-BOY PARKという大会において3連覇を果たしたKREVAとよく比較され、TV出演も多数。

TVでは聖徳太子ラップと言われる、その場でいくつかのキーワードをランダムで言ってもらい、即興でそのキーワードをフリースタイルラップで披露するという驚愕のテクニックを披露しています。

AbemaTVの「フリースタイルダンジョン」においては初代モンスターで他のモンスターが40~50%の勝率の中80%を越える勝率を誇るという圧倒的な存在なのです。

伝説の試合 R-指定 VS FORK

フリースタイルダンジョンにおける伝説の試合の一つ。

初代モンスターが引退し、2代目モンスターが就任してから5人全員撃破されることが2回連続で続いたため、初代モンスターがチャレンジャーとして現れ説教を兼ねて対決にしにやってきたという構図。

その中でもR-指定VS FORKは素人ファンからしてもまさに夢の対決。この対決を解説するのには素人からしたらあまりにもおこがましいくらい。

なので、わかりやすく韻を踏んでいるところだけ抜粋して紹介したいと思います。

FORK「放棄した現場 今更戻ってきても席は用意されてねぇんだよ Rメンバー」

現場とメンバーで韻を踏んでいますね。しかも、丁度TOKIOの山口が逮捕された時期で、TVで山口メンバーと紹介されたことで話題になっていました。時事ネタもちゃっかり盛り込んでいてオシャレ。続けて、

FORK「やるのは初めてだな存分に楽しめ やるからには潰すのがモンスターの使命だよ」

と投げかけたFORKに対して

R-指定「OK 潰すのが俺の使命 いや こいつらまだ手のかかる赤ん坊オシメ履いてるようなもんやで」

と返します。FORKの使命という言葉を受けて、オシメで韻を踏みつつ、FORKにお前らまだ赤ん坊だろ、と説教しています。まさに、即興で、内容があって韻がばっちり決まっていると3拍子揃っています。

また、常に冷静沈着なFORKがR-指定の攻めに思わず熱くなって感情が乗ってきたラップをしたことに対して

R指定「そんぐらい本気でやってくれねぇと兄ちゃん 死角からボン グレネードランチャー」

と返します。やってくれねぇと兄ちゃん、とグレネードランチャーが見事にかかっています。ラップバトルなら誰しもがうなった試合であることは間違いないでしょう。

誰が見ても楽しめるバトル集

私が厳選した、まだラップバトルを知らない人でも楽しめる動画をいくつかご紹介します。

一つ目は、晋平太 vs CHICO CARLITO。バッチバチの熱いバトルの中でもお気に入りです。

二つ目は、R指定 vs D.D.S。もう5年前の動画ですが、R指定の変幻自在なフロウがかっこいい。

三つ目は、黄猿 vs 鎮座DOPENESS。鎮座DOPNESSもR-指定と同じく最強と言われる内の一人。他のラッパーとは一線を画すタイプのラッパーで、独特の世界観を持っています。とにかく見て欲しい。

まとめ

日本では、ラッパーとして食べていくのは相当厳しい現状があります。ラップバトルの賞金はそこまで大きいわけではないし、ましてや曲を作っても売れない時代です。

有名なラッパーでもアルバイトを掛け持ちしながらやっている人も非常に多く、決して豊かな生活を送っているわけではありません。つまり、富や地位を得ることが目的ではなく、自分の想いを表現したり、相手とホンネの会話を楽しみや喜びにしているということ。

沢山のラップバトルを見ていると日本語にどれだけ沢山の表現方法や言い回しがあるかが良くわかります。

スマホやインターネットが普及した現代において、若者が言葉や文字に注目するシーンを作ったラップバトルの功績は非常に大きいのではないでしょうか。

ご興味を持った方はぜひラップバトルを見てみてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。