助けるビジネス、未来にプラス

業務改善のためのシステム導入の方法と種類

 業務の改善にITを利用すると良いとはいうものの、実際にはなかなか難しいものです。特に中小企業ではマンパワーの不足から、必要だとしてもシステム導入による業務改善が難しく、慣習的に非効率な作業が続けられることも少なくありません。業務改善のためにシステムを導入する場合、どのような方法を取れば良いのか、またどのような種類のシステムがあるのかを紹介します。

業務改善を考える上で大切なこと

 業務改善のための方法やそのためのシステムは数多くありますが、導入にあたっては本当に改善しなくてはならない課題をみつけることが大切です。また、システムを導入するならその目的をよく浸透させる必要があります。

ある課題の解決のためにシステムを導入してみたものの、翌年になって業務プロセスが変わり、システム導入の意味が無くなってしまうケースもあります。目先の業務をシステムで効率化することばかりを考えず、まずは業務プロセス全体をよく見直し、最適化するためのアクションを行うことが大切です。

必要であればシステムを導入することになりますが、システムの導入にあたっては慣れず、効果が見えないうちは不便さが先立って不満も出てしまいがちです。事前に解決すべき課題やシステム導入の目的を共有しておくことで、関係者に意識をもって業務改善を行ってもらうことができます。

1.業務改善を行うための方法

①従業員の自主性に任せる

 プロジェクトチームを作ったり、コンサルタントに相談せずとも、従業員の自主性に期待して業務改善を行ってもらうことも可能です。この場合、業務改善に向けてのモチベーションを高めるためにも社内表彰や人事評価に業務改善への取り組みを含めると良いでしょう。能力や知恵のある個人を発掘する機会にもなり、社内の雰囲気を活性化させることにも一役買ってくれます。

②自社内でプロジェクトチームを立ち上げる

 業務改善のための課題はさまざまですが、問題にふさわしい範囲でプロジェクトチームを立ち上げて改善点や具体的な取り組みを行う企業は多いです。見える範囲での業務改善に終始すると全体最適化を妨げることがありますので、課題によっては部門横断的なチームを作ることが望まれます。役職や年次によって意見が決まるようでは意味がないため、さまざまな立場の人の意見を吸い上げることが大切です。

③外部のコンサルタントに相談する

 業務改善を主にするコンサルタントに依頼して業務改善に必要な方法を検討してもらうのもひとつの方法です。コンサルタントは多くの会社の実例を知っているため、その知見からより効率的な方法を提案してもらうことができます。

また、コンサルタントは業務プロセスを細かく分解していき、解決すべき問題点を探すスキルが高いです。そのため、重要な改善点が見つかることが多く、また業務改善を成功に導くための組織や仕組み作りについてもノウハウを提供してもらえます。

2.業務改善システムの種類

①営業支援システム
 営業活動は事業活動の重要パートですが、営業支援システムは営業活動の効率化に有効です。取引先情報の管理や交渉の記録ができるだけでなく、メンバー間のスケジュールの共有や情報共有もスムーズにできるように工夫されています。最近はクラウド化が進み、スマホやタブレットでも使えるものが増えています。請求書の発行や送付もできるシステムも増えてきています。

②採用・労務管理支援システム

 人事の大きな仕事と言えば採用業務と労務管理ですが、これらを支援するシステムも多くあります。採用支援システムでは、候補者の管理や一括連絡、選考ステップの設定、関係者のスケジューリングやワークフローなどが整備されており、担当者の負担を減らしてくれます。労務管理の支援システムは、クラウド化が進んでおり、社内規定の作成支援ツールや労働時間の記録と給与計算を紐づけたシステムなどさまざまになっています。働き方改革で労働形態も多様化しており、労務管理は特に複雑化していますがシステムを利用することで担当者の負担を大きく減らすことができます。

③会計系システム

 企業の大事な資産を扱うための会計系のシステムは昔からさまざまなシステムが使われていますが、現在はクラウド化が進み、必要な情報がリアルタイムに確認できるだけでなく、税率や仕分けなどの制度変化に自動的に対応ができるようになっています。また、入力作業を極力軽減できるよう工夫が施されています。従業員の負担を減らすだけでなく、決算業務を早めたり、経営に必要な財務情報の即時提供など、システム導入によってもたらされる影響は大きいです。

④資産管理システム

 固定資産管理ツールであれば、資産の管理ができるだけでなく、資産の状況に合わせて減価償却や経費計算なども自動的に行ってくれます。IT資産管理用のシステムでは、ネットワークを利用してオフィス内の資産を自動的に収集することも可能です。どちらも入力作業を楽にすると共に、その所在や資産価値などをリアルタイムで把握できます。

⑤その他業務改善システム

 その他にも業務改善のシステムはさまざまなものがあります。書類や作成物などのバージョン管理のためのツールや、社内の意思決定や情報管理のためのワークフローのためのツール、グループ作業のためのタスク管理ツール、スケジュール調整のためのツールなど業務の数だけ改善システムの種類があると言っても良いでしょう。中には無料で使える簡単なツールから、大規模なシステム導入を必要とする高額なものまでさまざまです。

まとめ

 業務改善は誰が推進するかによって方法やできる範囲が異なります。また、業務改善を行うにあたってシステムを導入する場合は、業務上の課題を明確にしてから必要なシステムを検討することが大切です。システム導入では目的が関係者に共有されていないと、課題の解決が十分にできず不満が出ることもあります。業務改善をシステムだけに頼らず、しっかりと教育を行い、目的意識を持って使ってもらうことが大切です。