「あー会社に戻ったらプレゼン資料作らなきゃ」営業に携わるお仕事をされている方なら、一度はこんな言葉を口にしたことがあるのでは無いでしょうか。プレゼン資料作りって時間もかかるし結構面倒ですよね。
『プレゼン資料作成の代行屋』というちょっと特殊な商売を生業にしている私が、たった一つだけ大事にしている秘訣を伝授したいと思います。
結論から先に述べてしまうとこれです。これに尽きるんです。
「なんだ、そんな当たり前のことか」そう思われたかもしれません。でも、ちょっと待ってください。あなたは完全にその意味を理解できていますか?
そもそも、目的と目標ってどんな意味で使われていますでしょうか。辞書ではこのように定義しています。
目的・・・『実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい』
目標・・・『身体的運動、心的活動など生体の行う行動が目指している最終的な結果』とあります。
なんだかひどく抽象的ですね。私は、とある前職の社長に教えていただいた目的と目標を言い換えた表現が最も腑に落ちたので、その定義をずっと使っています。
それは、『目的=〇〇のために』『目標=〇〇をする』というものです。つまり、これをプレゼンに置き換えて考えると『このプレゼンは何の目的のために、何を目標とするのか』ということが最も重要なのです。
私がプレゼン資料の作成依頼を受ける際、参考資料として依頼主様から既存資料を参考用に必ずいただくようにしています。何故かというと、その会社様もしくは担当者様の資料作成における傾向が如実に表れるからなんですよね。
依頼主様のほとんどは「この資料をもっと分かりやすく、キレイにしてくれ!」とオーダーを出します。当然、どのようなデザインにしたいのかもヒアリングをするのですが、はっきり言ってそんなことはどうでもいいのです。
このようなお仕事をしている私が言うのもどうかと思いますが、それが私の本音です。何故か?それは、ほとんどの資料が目的と目標を見失った状態で作られてしまうからです。プレゼン資料を作る際、こんな経験をしたことはありませんか?
・パワーポイントを立ち上げて作り始めようとするも、アイディアがまとまらず時間だけかかって大した資料を作れなかった
・作っている途中で新しいアイディアが生まれて、結局資料を一から作り直すことになった
・画像やアニメーション、色などが気になってかっこいい資料を作るために何時間も要した
これらは全て非常にもったいない時間を過ごしています。
そもそも、プレゼン資料の大目的は想いを『伝える』ことではなく、相手に『伝わる』ことです。目的が満たされていない資料はただの自己満足が可視化された紙でしかないのです。
お互いの時間を無駄にするどころか、「デザインは凝ってるくせに中身ペラペラだな」なんて思われたらひとたまりもありません。大目的である相手に伝わる資料を作るために、今回のプレゼンの目的と目標を明確にしなければならないのです。
では、どんな目的と目標なのであれば適切なのでしょうか。目的の例を挙げると、『顧客から信頼を獲得するために』『取引先として安心できると思われるために』『現在の取引先から自社に変えたいと感じてもらうために』といった具合です。
抽象度が高く曖昧だと思われるかもしれませんが目的は目標に比べて抽象度が高くなるものなので気にする必要はありません。一方、目標の例は『次回本商談のアポイントを獲得する』『契約書にサインをいただく』『決済担当者を紹介いただく』といった具合です。
今回のプレゼンの目的と目標が『取引先として安心できると思われるために、次回本商談のアポイントを獲得する』だとしましょう。
そうなると、安心を感じていただくためには自社の今までの実績や、先方に近い業種や規模の事例を資料に盛り込もうといったように目的と目標を達成できる資料の内容は何か?という基準で資料の内容を考えていけるようになるのです。
つまり、目的と目標がきちんと設定されていれば、目的と目標が満たされるスライドの流れ=ストーリーが見えてくるようになるはずです。
デザインのことを考えるのはそのあとで全く問題ありません。もし資料を作りながら迷ったら目的と目標に立ち戻って考えてみてください。きっと、ヒントが見えてくるはずですよ。
私のお客様である電気工事業のお客様は、社長がほとんど自分で資料を作っていました。しかしそれではいけないと、営業部の人間が自分たちで資料を作れるように教育して欲しい、との依頼を受け、お仕事を引き受けさせていただきました。
現状の資料を一度見直すために、社長、営業課長、営業係長、私の4人で目的と目標を考えた結果、そのお客様が考えた目的は「お客様に気軽に相談したいと思ってもらえる存在になる」ということでした。
その観点で資料を見返すと驚くほど出てくる改善点の数々・・・。特に目立ったのは自分達しか分からない専門用語がびっしりとその資料に書かれていたこと。これではお客様も、なんだか難しそう・・・と敬遠してしまうのも無理がありませんよね。
とにもかくにも、プレゼンの目的と目標を明確にすること!これしかありません。因みに私は目的と目標が決まるまではパソコンに手を付けないと決めています。それくらい思い切ったほうが結果的に効率も良く、優れた資料ができたりするんですよ。
ぜひ次回からプレゼン資料を作る機会があったら試してみてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。