「この商談だけは絶対に落とせない」
営業に関わる皆さんであれば一度はそのような状況になったことありますよね。プレゼンを行う上で大切なのは、入念な準備。ですが、他のお客様の対応や作業がある中で、十分な時間を割けないこともしばしば。
日々時間に追われる私たちは限られた時間のある中で成果を出さなければなりません。今回は、私がプレゼンの準備で最も大切にしている『相手を知る3つの手段』についてお伝えしていきます。
『相手を知る』ことの必要性
そもそも、何故相手のことを知る必要があるのでしょう。時間が限られている中ではわざわざそんなことに時間を割けないと考えもあると思います。
そう思いのあなた!実はこの相手を知るというプロセスが無くなることで商談の質がぐんと落ちます。ほぼ、確実に。ベストセラーのビジネス書”孫氏の兵法”では、相手のことを知る重要性についてこんな言葉が記されています。
『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』
相手の実力や現状を把握し、自分の状況を踏まえれば何度戦っても勝つことができるという意味です。これはプレゼンテーションにおいても全く同じです。相手を知ることによるメリットは大きく分けて3つあります。
あなたが何に最も関心があるか、それは自分自身です。人の役に立ちたい、感謝されたい、
私たちは誰しもが人に認められたいという承認欲求を持っています。つまり、それは相手にとっても同じ。あなたが相手のことをよく知っていると、『自分のことをこんなにも知ってくれているんだ』『うちの会社を大事に思ってくれているんだ』『まじめで努力家なんだな』と思ってもらえる確率が高まります。
裏を返せば、相手のことを知らずに商談に臨み、『この人うちのこと全然知らないじゃん』と思われた時点でその商談の成功は無いと思った方がよいでしょう。
相手のことを知れば、戦略とシュミレーションを立てることができます。例えば、意思決定のスピードが速く、直感やひらめきで意思決定をするタイプの社長に対してまわりくどい説明は不要です。
プレゼンの冒頭に結論を述べ、文章よりも視覚に訴えかける図やイラストを使うといったことが効果的になるでしょう。一方、常に冷静沈着で、あまり感情を表に出さないタイプの社長には、感情に訴えかけるプレゼンはあまり響きません。
プレゼンの結論とその理由だけではなく、その根拠になっているデータや統計を記載する、資料の誤字脱字がないかを綿密にチェックするといったようなことが効果的でしょう。
もちろん、それはあくまでこちらの想像でしかないのですが、仮説を持って想像を膨らませ相手に立場に立って適切なプレゼンを行うことが重要なのです。
相手のことや相手の会社を調べていくうちに、例えば会社のニュースや、相手がはまっている趣味などの情報も入ってくるでしょう。得た情報を会話に使うことで相手との距離が縮まり、関係性が深まります。
相手との関係性を良好になれば、結果的にプレゼン自体の成功確率を高めることにも繋っていきます。
では具体的にどのような手段を使って相手を知るのでしょうか。具体的な手段の一つとして、ホームページは非常に強力です。このご時世、HPがない会社の方が圧倒的に少ないです。時間が許す限り全でのページに目を通して損はありません。様々な情報がある中でも私は以下の様な観点で情報を調べていました。
・経営理念、価値観、ビジョン
会社の考え方や方針が最もわかりやすく表れているページになります。あなたの提案が、先方の理念や価値観、ビジョンとマッチしていることが伝われば提案がより魅力的になるでしょう。
・IR情報
IRはInvestor Relationsの略で、投資家に自社の経営状況や財務状況、業績などを知ってもらうための情報のことです。特に中期経営戦略の資料が掲載されている会社は必ず目を通しておくようにしましょう。
直近の3年ないしは5年の間に先方が何を実現したいのか、コンセプトや実行計画が書かれている資料になるので、提案内容が中期経営戦略の内容と紐づいていれば伝われば相手が商品・サービスを導入する理由が明確になります。
・製品情報
相手の商売を理解するのは基本と言えるでしょう。相手からしたらわざわざ説明する手間も省けますし、きちんと調べてくれているんだ、と思ってもらえます。
・最新情報
人事異動や社内行事、新製品の発表など重要な情報がここから得られます。
例えば、社長や役員が交代したというニュースが直近であれば、社内は関連した対応に追われている可能性が高いです。「人事異動もあって最近はとても忙しいんじゃないですか。
そんな中お時間を作って下さりありがとうございます。」という一言を添えられるか、そういう一つ一つの言葉が相手の信頼度を高めるのです。
・採用情報
教育や研修、採用にかかわるサービスを提案するのであれば詳しく見ることが必須のページです。リクナビやマイナビといった採用サイトに求人が出ていることも多いので参考にすると、直近の採用人数の変化を見ることが出来ます。
そこから会社の業績や社内事情などの仮説を立てられるのでぜひ見ておきましょう。
・スタッフ情報
ここに掲載されている社員さんは期待されている若手や会社でのキーマンとなっている可能性が高い方です。場合によってはあなたのプレゼンに同席する可能性もありますし、決裁権を握っているかもしれません。
プレゼン相手の名前が分かっていれば、ネットで簡単に検索することができます。よりプライベートな情報を知ることができる反面、あまりにも知りすぎていると相手からしたら気味悪いと思われる可能性もあります。プレゼンにどこまで知りえた情報を活用するかは慎重に判断しましょう。
・家族構成
結婚、お子さんの有無を知っておけると雑談の一つに使うことができます。
・出身、住まい
あなたと共通の接点があれば、それも会話の一つに使えます。意外なところで話が弾むこともよくあります。
・日ごろ考えていること
何気なく書いていることは、相手の関心事であることが多いです。相手の価値観を知るヒントになることも多いです。
先方が事業活動を行う上で対外的に使っている資料というのは、それだけアピールしたい情報が載っているということです。
会社概要に書かれている内容はどこでも調べることはできますが、事業内容や理念、ビジョンなどはホームページに載っている内容と少し違って掲載されていることも多いです。時間があれば資料を請求してもよいかもしれません。
いかがだったでしょうか。もちろん、上記はあくまでもほんの一例です。何より大事なのは相手に関心を持つということです。相手に純粋な興味を持つことがあれば、自然に相手のことを知ろうと努力しますよね。
それが結果的に相手にとって良いプレゼンをすることに繋がりますし、相手にとって良いプレゼンが出来るということは自己満足のプレゼンでなくなるということです。いいこと尽くしですね。
ぜひ今度のプレゼンから入念な相手を知る準備を心がけてみてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。