おはようございますこんにちはこんばんは。編集長のSeinaです。
通信の世界はいよいよ第5世代に間もなく突入します。4Gから5Gに変わることで超高速・大容量・多接続・低遅延の通信が実現すると言われています。
ソフトバンクは通信事業をさらに拡大させながら、IoT・AI・Dataを駆使して、さらに巨大な成長を目論んでいます。
プレゼン資料の作成代行業をしている私が、ソフトバンクグループのIR資料を読み解きながら、そのビジョンと資料のポイントをまとめました。
今回の情報元となっているのは、2019年7月2日に行われた、ソフトバンクの法人事業説明会で使用されたプレゼン資料です。気になる方はコチラから見ることができます。
全65ページに渡るプレゼン資料の結論は以下の通りです。
1. 鍵となるテクノロジー(IoT、5G、AI、Data)を駆使して社会課題の解決をする
2. 社会課題を解決する専門チームを設立し、各産業のキーマンと「共創」する
3. 特に物量業界のデジタル化に向けた「共創」に注力
これが全65ページを通して伝えたいことです。資料から感じる本気度と成功を裏付ける根拠が明確に記されていて、競合したら思わず白旗を振りたくなるようなプレゼン資料になっています。
資料の構成と概要は以下の通りです。尚、あくまで私の主観でまとめておりますので、正確な記載内容を確認したい方は直接IR資料をご確認ください。
-1.各事業の位置づけ
まずソフトバンクが目指しているのは同社のコア事業である通信事業のさらなる拡大。ここに+αの新領域を伸ばしていくことを目指しています。
-2.キーになるテクノロジー
事業の成長を実現する上でキーとなるテクノロジーをIoT/5G、Data、AIとしており、ソフトバンクがこれらの事業に投資を重ねるのは以下にもある通り、テクノロジーの進化によってあらゆる産業の在り方が見直されるからです。
-3.産業の再定義により社会課題が解決
これらによって今まで産業の中でずっと課題になっていたことが、テクノロジーの活用によって解決することができるとソフトバンクは考えているようです。
-1.各産業のキーマンと「共創」することがキモ
社会課題を解決するための戦略においてキーとなるのは、パートナーとの共創。中でも各産業のキーマンとどれだけタッグを組めるか、が重要だと考えているようです。
-2.同社の顧客基盤を最大限活用する
じゃあ各産業のキーマンとどうやって共創するのか?という問いに一発で答えられるスライドがこちらです。
実に大企業全体の94%と取引実績があり、大企業との関係構築をずっと以前から重要視して拡大してきたことが分かります。
-3.社会課題解決専門チームDX本部の設立
そして、社会課題解決をするための社内組織DX(デジタルトランスフォーメーション)本部を設置し、140名の運営体制で事業を回しています。
因みにデジタルトランスフォーメーションとは、ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念。DX本部の外的な役割はビジネスのデジタル化を推進することです。
-1.DX本部のミッション
DX本部が抱えているミッションは下記の2つ。
ソフトバンクの次の柱になる事業を創出する、というミッションからDX本部への期待の高さが伺えます。
-2.物流業界のDX化に注力
その中でも注力する領域は物流業界。荷物を配送する個数は増加しているにも関わらず、ドライバー不足が深刻な同業界。配送力のムダも多く、ソフトバンクはDX化をすることでそれらの社会課題を解決できると睨んでいます。
-3.イオンでの取り組み事例
具体的に、イオンでの取り組み事例を既に実施しており、ソフトバンクの豊富な顧客基盤を活用して配送の最適化にチャレンジしています。
これが、ソフトバンクの法人事業戦略です。社会的な背景とテクノロジーの発達を見据えて、数年前から専用部隊を設置し、キーマンと共創しながらDX化を推し進めていくという内容です。
このプレゼン資料を見てどのように感じましたか?私は、ソフトバンクがいかに将来の予測を立てながら、コツコツ投資をしてきたか、その緻密さに驚きました。
現状に甘んじることなく常に先を見てビジネスを展開していく。まだまだソフトバンクは成長するのだろうなと思わざるを得ませんでした。
プレゼン資料の内容だけではなく、資料としての出来栄えについても考察をしていきたいと思います。
1.スライドに余計な情報が無い
まず、スライドに無駄な情報がほとんどありません。プレゼンの大原則である1つのスライドに1つのメッセージを意識しながら作られていることが分かります。文字数もかなり少ない為、読み手には負担がありません。
2.一目でそのスライドが伝えたいメッセージがわかる
図解やグラフを多用しているので、パッと見てそのスライドで言いたいことが丸わかりです。
3.根拠が明確で説得力がある
再掲するスライドですが、自社の顧客基盤がどれだけ優れているかを数字で明確に訴えています。
日本の大企業の内94%と取引がある、ということをスライドにするということは、同社がそれを見越して大企業と関係を作ってきたと見ることができます。
同社が「共創」を出来る環境を水面下で整えてきていたからと思うと、ゾッとします。
改めてまとめると、ソフトバンクの法人事業戦略は
1.鍵となるテクノロジー(IoT、5G、AI、Data)を駆使して社会課題の解決をする
2.社会課題を解決する専門チームを設立し、各産業のキーマンと「共創」する
3.特に物量業界のデジタル化に向けた「共創」に注力
で、プレゼン資料の優れている点は
1.スライドに余計な情報が無い
2.一目でそのスライドが伝えたいメッセージがわかる
3.根拠が明確で説得力がある
ということでした。大企業のIR資料と比べると一目瞭然です。メッセージが明確で洗練されており、無駄が無い。頭のお堅い役員が作った資料とは訳が違います。
私たちはこのプレゼン資料から、常に未来を見据えながら先行投資を続け盤石な体制を築いていく経営姿勢と、それを明確なメッセージとして届けることができるプレゼンの重要性
について学ぶことができます。
著作権の関係で紹介できるIR資料は限られますが、また随時他の企業も紹介していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
-追記 ドコモのプレゼン資料も解説してみました。記事はコチラから