助けるビジネス、未来にプラス

共創型ビジネスモデルを実現し、常に繁盛している地元の立ち飲み屋の話。

こんばんは。編集長のSeinaです。

BBQにお祭りに音楽フェスへとイベントが目白押しの8月ではありましたが、お酒を沢山飲まれた方も多いのではないでしょうか。

ここ最近、親しくしている友人から食事に誘われて地元の立ち飲み屋に行く機会が増えました。

居酒屋で話すのとはまた異なるディープな話が出来たり、キャラが濃い面々に遭遇してゲラゲラ笑ってあっという間に時間が過ぎるので最近気に入っています。

友人とは地元の同じ店に毎回行くのですが、いつもほぼ満席状態。先日訪れた際に気づいたのは、このお店が繁盛している理由が共創型ビジネスモデルにあるということ。

その個人的な考察をまとめました。

共創の定義と事例

共創とは

そもそも、共創とはどのような意味なのでしょうか。

この言葉は、2004年、米ミシガン大学ビジネススクール教授、C.K.プラハラードとベンカト・ラマスワミが、共著『The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers(邦訳:価値共創の未来へ-顧客と企業のCo-Creation)』で提起した概念と言われています。

企業が、様々なステークホルダーと協働して共に新たな価値を創造するとという概念「Co-Creation」の日本語訳です。

(参照:【図解】コレ1枚でわかる「共創」の3つの意味)

とあります。

共創が重要視される背景には、ビジネスを取り巻く環境が急激に変化することが大きく左右しているのはまず間違いないでしょう。

一企業の製品・サービスが競合優位に立って、お客様からずっと指示され続けるのは相当難しいのだと思います。

だからこそ、お客様に限らず企業のステークホルダーと「共」に価値を「創」る必要があるのです。

共創を取り入れた企業の事例

つい最近、ソフトバンクとドコモの中のプレゼン資料について記事をまとめたのですが、そこでも度々共創と言う言葉が使われています。

ソフトバンクの法人事業戦略

ドコモの中期経営計画

ソフトバンクは、自社が持つテクノロジーやビジネスモデル×パートナーの業界独自のノウハウによる共創。

ドコモは共創ではなく、協創という言葉を使っていますが、スライド内容を見る限り言葉の使われ方はほとんど同じのように感じます。

社会課題を解決するために協創すると書いてあるので、細かな戦略は異なりますが、方向性はかなり似通っているようですね。

立ち飲み屋で感じた共創

常連の驚くべき行動

前置きが長くなりましたが、いよいよ本題。

友人と二人で行ったお店の概要は下記の通り。

・駅から徒歩1分

・お店には扉が無く、外から店内の様子が丸わかり

・テーブル席2つに、6人分くらいのカウンター

・食事メニューは串揚げ+おつまみで約40種類

店内図のイメージは下記。(雑でごめんなさい)

友人と二人で飲んでいると、お店に入ってきた二人の女性。私とも面識がある友人のヘアカットを何年も担当している美容師さんとそのお友達だ。

「うぃ~久しぶりじゃ~ん」

中々に酔っぱらっている様子だ。この美容師さんは相当な常連で、私がこのお店で遭遇する確率は体感値で80%。

お店のマスターはもちろん、店内にいる人はほぼ全員が知り合いらしく、すぐにわいわいと盛り上がり始めた。

私や友人もその輪に入らせてもらいながら楽しく飲んでいると、その美容師さんが店の外に視線を向けて何やら叫ぶ。

「おー!〇〇じゃーん!一杯飲んできなよ!」

知り合いがお店の前を通過したのを見逃さず、あっという間に、新たなお客さんが3人ほど加わった。店内はもうパンパンだ。

立ち飲み屋さんでは当たり前の光景なのかもしれないのですが、私としては結構衝撃的。お客様がお客様を呼び、店内が活気付く。

そうなれば話はさらに弾み、お酒も食事も進む。新規客の獲得と、客単価の向上が実現され、かつ楽しい思いをしたお客さんはさらにリピーターになる可能性もある。

さらにこのお店で過ごしていると気づくのは、お客さん全員でお店の雰囲気を作っているということだ。

上記のような狭い空間の対話ではなく、

このようなお店全体での対話が生まれる。常連が連れてきた友達を、異なる常連に紹介してさらに仲良くなる。みんなが楽しい時間を過ごせる仕組みが自然と行われていることに驚きを隠せませんでした。

共に創るってこういうことなんだ

単なる常連客が外から引っ張ってきただけ、そんなの立ち飲み屋ではよくある光景だ。と思うかもしれません。しかし、当然それだけではありません。

このお店の近所には、兄弟店舗のようなお店が存在しており、ちょくちょくもう片方の店舗の従業員が出入りする。

そこでお互いに余っている食材や足りない食材を共有して廃棄を無くして経営効率を高めているようだ。

後から友人に話を聞くと、お客さんの中には近隣の飲み屋の店長もよく客として来ているらしい。

また驚かせられたのは、常連グループの会話が落ち着きを見せた頃、すかさず店長が次のお店を自然に紹介していたことです。

「××でいま6人位入れるってさ。■■が〇〇ちゃんのこと待ってるみたいだから行ってきてあげなよ」

近隣のお店の店内状況と、誰が店に来ているかを相互に情報交換していると理解できる。そして、常連の誰と誰が繋がっており、仲が良いのかをしっかり把握しているということですよね。

お酒を飲んでいて次のお店に移動するときってスムーズに移動したいし、グタグタしているとお酒も冷めてテンションもダダ下がりです。

こんな風に案内されたら常連グループも嬉しいし紹介されたお店も嬉しいですよね。紹介されたお店も、今度はあっちのお店にお客さんを紹介してあげようと自然に思うことでしょう。

私はここに共創の姿を感じたのです。

このお店が提供している価値は、

「美味しい串揚げとお酒を安価で提供する」物質的価値ではなく、

「お店とお客さんで一緒に場を盛り上げ、みんなでその空間を共有する」体験的価値。

お店を出るときに私と友人が話をしたのは、

「地元ってやっぱりいいよな」の一言。

飲食店が軒並み閉店し、シャッター街が次々と生まれている中で、共創によって地元愛が生まれ、地域に根付いていく。まさに共創によって地域課題を解決するモデルになるのではないでしょうか。

そんな堅苦しいことを頭で考えつつ、お酒に酔いながら楽しい時間を過ごさせてもらったのでした。

まとめ

ここまでをまとめると、

・共創とは、企業とステークホルダーが協力し合い新たな価値を創造すること

・常連客も新規客もみんなお店を創り、その空間を共有する風土が出来ている

・近隣の飲食店も巻き込んで共創することで地元愛が深まり地域に根付いていく

ということでした。立ち飲み屋という事例ではありましたが、関係者全員で空間や体験を共有することはこれからのビジネスにおいてとても重要になることではないでしょうか。

是非ご自身のビジネスでもステークホルダーと共創できないか考えるきっかけになれたら幸いです。

また、お店は横浜の弘明寺駅にありますので、お知りになりたい方はご連絡をお待ちしております。笑

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

seina
独立と同時期に離婚を経験し、フリーランスとして半年ほど過ごした後、法人化。著書に「分かりやすい提案書の3RULE5DESIGN」「今さら聞けないテレアポのキソキホン」など。地元・横浜での立ち飲みがマイブーム。

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