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DtoCの事例と日本で活用するためのポイントとは

世界的にECが広まる中、アメリカのスタートアップ企業の成功例が注目を集めているDtoC。今回は、日本でも今後の展開が加速すると予想されるDtoCについて解説していきます。

DtoCとは何か

DtoCとはDirect to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略です。企画、製造、流通、販売まで、仲介業者を介入せずに自社のECサイトで直接ユーザーに販売するビジネスモデルのことで、D2Cとも言います。

アメリカのアパレルブランドやコスメブランドなどのスタートアップ企業が成功例として有名です。日本でもメーカー直販というシステムはすでにありましたが、いわゆる日本のメーカー直販とDtoCには大きな違いがあります。日本のメーカー直販は、各メーカーの独自の技術によるプロダクトアウトの発想にもとづくマーケティングです。

しかしDtoCは、SNSを通じて顧客との接点を拡大し、顧客の意見を反映させた製品を、企画、製品化していくというスタイルです。また、小売業ではあるものの実店舗は持たずECサイトのみでセールスしていくという点も特徴です。

DtoCがトレンドになる理由

なぜ今DtoCがビジネスモデルとしてトレンドなのでしょうか。スマートフォンの普及に伴いECサイトで商品を購入するユーザーが増えたため、小売業者は実店舗を閉鎖しECサイトでのマーケティングやセールスにシフトチェンジしていかざるを得なくなったことも背景にあります。業者を介さないことによってコストカットが可能になり、さらに高品質の製品を提供できるということも理由です。しかし企業がSNSを通じてフォロワーと直接つながることで、広告費を使わずに潜在ユーザーを自社ブランドのファンとして取り込めることが一番の大きな理由です。ユーザーの意見を反映させた製品を開発することによって顧客満足度は上がり、購入した商品をSNSでシェアすることでブランドの世界観を共有できるというカスタマーエクスペリエンスを顧客に与えることができるのです。

DtoCが成功するためのポイント

DtoCが成功するためのポイントは何か、成功例となったスタートアップ企業の事例とともに具体的に見ていきます。

1.SNSの徹底活用

・「Glossier」コスメブランド
DtoCにおいて、いかに潜在ユーザーにアピールし自社ブランドを拡散していけるかは的確なSNSの運用にかかっています。Glossierは、創業者兼CEOのエミリー・ワイズ氏のブログユーザーがそのままブランドサイトの集客につながりました。さらに、購入者に同梱したGlossierのステッカーを使いユーザーがGlossierをタグ付けしてSNSに投稿します。そしてそのユーザーをGlossierの公式アカウントがリポストすることで他のユーザーの購買へと繋ぐことに成功しています。

2.サブスクリプション(定額・定期購入)

・サプライズ型サブスクリプション「ROCKETS OF AWESOME」子供服
サプライズ型サブスクリプションは毎回異なるアイテムが送られてくるシステムです。ROCKET OF AWESOMEは事前にアンケートでサイズや好みなどを把握し、シーズンごとにアイテムを届けています。気に入らないものは着払いで送り返せるため、必要なものだけを購入できます。様々な商品を届けられるという企業側のメリットだけでなく、好きな物だけを購入できる点がユーザーにとって魅力です。

・消耗型サブスクリプション「DOLLAR SHAVE CLUB」カミソリメーカー
定期的なカミソリの購入システムによって大手メーカーの顧客単位を上回ることになったのがDOLLAR SHAVE CLUBです。定期的に安くカミソリを購入でき、購入にかかる時間や労力も削減できるというメリットがあります。

3.商品力

・「BONOBOS」メンズアパレル
DtoCで成功するためには自社の商品がユーザーに支持されなければなりません。顧客の意見を反映した商品の開発など、強い商品力が必要です。BONOBOSはユーザーリサーチの結果、アメリカ人の体型にフィットしたパンツを開発・発売しました。さらにトップスとボトムスをどのように組合せてもフィットすることをテーマとして商品展開をしており、多くのユーザーの支持を得ています。

日本でDtoCを成功させるためには

DtoCは、日本の小売事業者にとっても今後取り組むべきビジネスモデルであると言えるでしょう。しかし、スタートアップ企業にとって取り組みやすいこのビジネスモデルで日本の既存メーカーが成功するためには、留意するポイントがいくつかあります。

自社の商品を客観視する

DtoCの成功にはユーザーに支持される商品力が必要です。そのため、まず自社の商品がユーザーにとってどのような魅力があるかを客観的に見ることが必要です。ユーザーに支持され、企業側の特別なプロモーションがなくとも拡散されていくためには、優れた商品であることが第一条件なのです。

ブランド力があるか

DtoCでの成功を支えているのは熱狂的なファンです。自社のブランドが市場で確立されていることが大きなポイントです。ブランド力がないと、そもそも商品がインターネット上で検索されることもなく売上も伸びません。一過性ではないユーザー層を持っていることが必要です。

Webマーケティングのノウハウがあるか

ECサイトを構築しても、永続的に顧客を獲得するためにはSNSの活用は避けて通れません。社内にSNSを駆使したWebマーケティングのノウハウがあることも成功するための重要な課題です。

まとめ

日本ではまだ本格的なビジネスモデルとして導入されていないDtoC。今後日本のメーカーが新たなビジネスモデルとして成功させるためには、いくつかのポイントをクリアしていることが必要です。主なポイントをまとめると以下の通りです。
・ユーザーにとって魅力的な商品である。
・市場で確立された自社ブランドを持っている。
・SNSの活用に熟知したWebマーケティング担当者がいる。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。