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100,000件のテレアポから見えてくる、都内に住む高齢者の生活と孤独な日々。

私にはとある投資会社において2年間ひたすらテレアポをし続けてきた営業マン時代があります。色んな方がいる中でも、最も多く話したのは60歳以上の高齢者でした。

数多くの高齢者と電話で話し、時には1回の電話で1時間、2時間平気で話すこともざらです。そんな中から見えてくる高齢者の生活の実態や孤独さを感じる日々についてまとめました。

高齢者の生活あるある

あるある1:二世帯で同居するものの、息子の妻と関係性が悪化

元々都内に夫婦で生活をしていたが、家を改築して自分の子供夫婦と二世帯で暮らすというケースは非常に多いです。

子供夫婦からすれば、新築のマイホームを建てるよりずっと安く建てることができますし、両親に何かあった時にすぐに対応ができる利点があります。

高齢者夫婦からしても、自分たちの健康面に何かあったら助けてくれる人がすぐそばにいるというのは何より安心でしょう。

ただし、やはり様々価値観を持つ者同士がひとつ屋根の下に住めば当然いろんな問題が発生します。私の主観ではありますが、圧倒的に人間関係が上手くいっていないのは嫁×姑の組み合わせです。これは断トツ。

一歩下がって夫を支え続けてきた時代から、共に働き、お互いの価値観を尊重しながら生活をする、というライフスタイルが当たり前の時代(あくまで一例ですが)では、当然お互いに様々な違和感があるに違いありません。

また、嫁×姑の組み合わせは、どうしても一緒に過ごす時間が長くなりがちです。見たくなくても見えてしまうイヤなところが目につき、ストレスを感じているようで、テレアポ時にそんな愚痴をお話になる方も大勢いらっしゃいました。

あるある2:孫に貢ぐ

高齢者の方にお金の使い道はそう多くありません。ある程度の貯蓄は残しておかなければ自分たちに万が一のことがあった時に対応できないですし、子供にたくさんお金は残せないけれどせめて葬式代はとっておきたい、なんて方も非常に多いです。

健康面の問題もあるため、旅行も頻繁には行けずせいぜい友人とのランチや習い事にお金を使うくらいです。と、なればお金の使い道は必然的に孫に向かっていくという訳です。

社会との接点が無くなり、感謝されることや喜ばれる機会も減りますから、無邪気に「じいじ!」「ばあば!」と自分のもとに駆け寄ってくれる孫の存在は何よりの喜びになるでしょう。

そんな孫のため何かにつけてプレゼントを買ってしまうわけですが、子供夫婦にとっては悩みの種。

欲しいと言えば好きなものが簡単に手に入る、なんて子供に思われたら大変なことになりますし、懐きすぎてしまって自分たちの言うことを聞かなくなったらまたストレスです。

これがきっかけで関係がこじらせてしまうこともあるため、良かれと思ったことでも注意が必要です。

あるある3:習い事に熱心

お金の使い道に制限あると同時に、自分の行動範囲にも一定の制限がかかってしまいます。そういう状況の中で、高齢者の方が好むのは身近な“コミュニティ”です。

男性であれば将棋や囲碁、女性であればカラオケやダンスを習っている方は非常に多かったです。自分の好きなことに没頭できる時間が持てることや、ある程度自分たちと同じ世代で共通の話ができる友達ができることは、高齢者にとって生き甲斐を感じられる一つの貴重な時間になっています。

あるある4:シルバー人材センターで働く

趣味や習い事に時間をかける人がいる一方で、シルバー人材センターと言われる高齢者専門の職業紹介所を利用して働く人もしばしばいらっしゃいます。

賃金といってもそう多くもらえるわけではありませんから、目的は習い事同様、職場を通して友人を作ることや社会との接点を持ち役に立つことで感謝されたいという承認欲求を満たすという理由だと私は感じています。

「やることが無くてつまらない、この年になって長生きていてもしょうがないし迷惑をかけるばかりだからね」冗談交じりに笑いながらもどこか寂し気な声で私に愚痴を吐く方も沢山いらっしゃいました。

あるある5:高級な老人ホームに入所して、余計に体が弱くなる

お金に余力があるご夫婦や、子供と二世帯で暮らすのが難しいため、老人ホームを利用される方も沢山いらっしゃいます。

各施設によって機能や価格は様々ですが、初期費用で数百万を支払う老人ホームもあれば、毎月30-40万ほど払って入所する方も。とにかく高い。その分施設も非常に清潔で便利。下手したらその辺のホテルよりよっぽどキレイです。

ストレス無く生活し、これは羨ましいなと思っていましたが老人ホームに入所してから体が悪くなったという声を本人からも、そのお子さんからも沢山聴きました。

それは何故かといえば、自力で生活をすることが無くなり、運動能力や記憶力などが低下していくからです。

例えば食事や洗濯。今までは夫婦二人で暮らし、どちらかがやらなければならない為、必然的に体も動かし、頭も使います。ところが老人ホームに入所するとあまりにも便利すぎるため、自分で何かを考え行動する機会をどんどん失ってしまうのです。

孤独とオレオレ詐欺の関係性

承認されたいのは高齢者も同じ

私がおおよそ10万件というテレアポを行い、数多くの高齢者とお話しさせていただいた中で最も感じたのは、高齢者の孤独さです。

社会との接点は無くなり、役に立てることも少なくなる。それどころか自分が面倒を見てもらうばかりで負担をかけさせてしまう。お金を稼ごうと思っても大して働くこともできない。

そんな中で、自分の人生にどんな意味づけを行い、余生を過ごすかは高齢者にとっての重要なテーマなのだと思います。

オレオレ詐欺集団の中には、「日本経済を回すために高齢者の桶を市場に流している」と本気で考えている人たちもいるそうです。彼らがどんな動機を持とうが一生許されることはありません。

しかし、そんな集団にお金を私ってしまう人たちが後を絶たないのは、本当にその詐欺グループのやり方が巧妙だから、だけなのでしょうか。私にはそうは思えません。

高齢者が、感じている孤独を埋め合わせる先が、習い事でもなく、孫に貢ぐことでもなく、たまたま詐欺グループになってしまった、そんな気がしてならないのです。

そんな馬鹿なことがあるわけないと思われてしまいそうですね。ただ、私がテレアポを通して多くの方から契約をいただいた理由の多くは「あなたが私の話をたくさん聞いてくれたから」だったのです。詐欺グループからそしたら、そこに付け入るスキがあると思われても仕方がありません。そんな風に考えると、寿命が増え続けて長生きできることが一概に幸せと言えるのか、考えされられます。

まとめ

高齢者は日々リアルに「生と死」に向き合って過ごしています。私たちは普段どれだけ時間を大切に過ごせているでしょうか。

看護師は多くのご年配者の最期を看取っていますが、最期が迫った患者さんが発する言葉の圧倒的一位は「もっと、●●すれば良かった」という後悔の言葉だそうです。

私たちは果たして悔いのない最期を迎えられるでしょうか。生と死については日頃から考えていきたいですね。最後までお読みいただきありがとうございました。