最近テレビでよく流れているアレクサのCM。皆さんも一度ぐらいは観たことがあると思います。
そして、このCMに出ている男性のキャラクターについて、タレントのきゃりーぱみゅぱみゅさんが「苦手だなー」とツイートしたところ、これに共感した女性が大勢いました。
きゃりーさんのツイートには3万件を超える「イイね」がつき、コメントもたくさん寄せられたようです。なぜこんなにも多くの女性から反感を買ってしまうのか・・・。
アレクサのCMを分析しつつ、女性に嫌われてしまう男性について考えていきたいと思います!
まず話題となっているアレクサのCMをご存知ない方のために、簡単に内容をご紹介しましょう。アレクサ(Alexa)とはAmazonが開発したAIアシスタント。
「アレクサ、〇〇して」と音声でコマンドを送ることでインターネットにつながっている端末を操作してくれるものです。CMの中では爽やかな青年が肉じゃがを作っています。
どうやらお母さんの味を再現しようとしているようですが、なかなか同じ味になりません。そこで青年はビデオ通話で母親にヘルプを求めます。
するとお母さんはビデオ通話で必要な調味料を指示するのですが、その結果出来上がったのは肉じゃがではなく、カレーでした。でもこれがまた美味しくできたようです。
するとお母さんは「今度の彼女はどんな子?」と聞きます。そこで青年は「アレクサ、通話を切って」と言ってビデオ通話を終わらせてしまいました。
そこに玄関のインターホンの音。彼女が来たようです。青年は「アレクサ、デートのプレイリストかけて」と話しかけて音楽を流し、彼女を出迎えに行く。というストーリーです。
動画はコチラ↓
一見なんということのない日常生活の一部ですが、なぜこれが女性の反感を買ってしまったのでしょう?先ほど紹介したきゃりーさんのツイートに寄せられたコメントを見ると、
「お母さんの味の肉じゃがを作るとか嫌だ」
「結婚してからもお母さんの味と比べそう」
「お母さんを呼んでおいて彼女を紹介しないなんて」
「プレイリストかけてのドヤ顔がいや」
など、CMの男性の言動がツイッター上でボコボコにされています。もちろんこの男性自身のキャラクターではなくCM上の演出なのに、こんなに嫌われてしまうなんてちょっと気の毒になってしまうほどです。
おそらくこのCMを作った制作会社はこんな反応が返ってくるとは思っていなかったのでないでしょうか。むしろ、手料理を作っているのは女性ではなく男性側。美味しいものを食べさせたいけれど上手く行かない。
そんな時は話しかけるだけで通話できたり音楽をかけられるアレクサが便利だし、おかげで美味しい料理が出来上がった。肉じゃがを作ろうとしたのにカレーになってしまったけど、そこはむしろご愛敬。
なんていうコンセプトで作ったのではないかと勝手に想像してしまいます。では、なぜこのCMの男性の一連の言動が女性たちからの壮絶なダメ出しを食らったのか。個人的見解によって分析していきたいと思います。
まず1つには、男性がお母さんの味を求めたことが「マザコン」と捉えられたのではないかと思われます。女性は結婚相手として考えた時、マザコンな男の人のことを今も昔も要注意人物として見なすという悲しい現実があります。
そういえば90年代に世の女性たちを震撼させた「冬彦さん」も最恐のマザコン男でした。冬彦さんと言えば「ずっとあなたが好きだった」というドラマで、佐野史郎さんが演じた主人公です。
野際陽子さん演じた母親との強烈な母子関係が話題を呼び、マザコン男性が一気に脚光を浴びて「冬彦さん現象」などという言葉も流行りました。
それ以前にも当然「マザコン」と定義される男性も確かに存在はしたでしょう。しかし「冬彦さん」のお陰で、「マザコン」自体が明確なアイコンとして確立されたと言えるのではないでしょうか。
女性たちは交際相手や結婚相手となる男性の条件に「マザコンじゃない」というキーワードを使うようになりました。
もう1つ、アレクサ男子にノーを突き付けた女性たちの言葉の中に「母親の味」への警戒心が見て取れました。
「結婚してからも母親の味と違うとか言いそう」
「お母さんの味の肉じゃがを求めるあたりが怖いです」
と、恐怖心さえ抱く女性も。女性にとっては、「おふくろの味」ですら敵なのでしょうか。
話は逸れますが、かつて私も似たような経験をしたことがあります。結婚して他人同士が一緒に住むというのは、違う環境で育った2人がお互いの価値観を寄せ合うため、ぶつかることもあります。
かつての我が家の場合は、「シチューはおかずか汁物か」という他人から見たら本当にどうでもいいことで揉めました。私の実家ではシチューはおかずだったのですが、当時の夫の実家ではみそ汁と同じだったそうです。
なのでシチューとサラダを作った私に一言、「おかずは?」。食べ物の好みが違うと本当に大変です。
そして一生懸命作ったのに、お母さんの味がうんぬんと言われた日には、作った料理を鍋ごと捨てたくなる女性も少なくない、そう思うのです。
さらに女性たちの不信感を買ったのは、「今度の彼女はどんな子?」という母親のセリフに、すかさず男性が「アレクサ、通話を切って」というシーン。
「今度の彼女は」。この母親の言葉に反応してしまった女性たちもいたようです。今まで何人も彼女を取っかえひっかえしていたかのように思わせるセリフ。
そしてさらに母親との通話を切って彼女を出迎える彼は、BGMとしてアレクサに「デートのプレイリスト」をかけさせています。慣れていると思われてしまったようですね。
確かにお母さんのセリフから想像すると、今まで何人か彼女がいて、このお母さんは歴代の彼女についての情報を握っているのかもしれません。
さらに女性たちの反応は、母親にヘルプを求めておいてさっさと電話を切ってしまった彼の態度にもおよびます。
CMのコンセプトとしては、おそらくお母さんに聞きながら料理を作ったことを彼女に内緒にしたいということだったのでしょう。
そして、彼女のことを聞いてきたお母さんを上手くかわした他愛のない親子のやりとりを表現したかったのかもしれません。しかし、これも残念ながら裏目に出てしまったようです。
CMの演出とはいえ、親元を離れて独立し、彼女のために料理も作る料理男子、トレンドのAI端末も使いこなし、デート用のBGMで出迎えてくれる。
普通にいたら別に嫌われる要素なんてなさそうな男性なのに、なぜこれほど女性は辛口なのでしょう。数あるOKポイントを凌駕してしまうほどの理由とは、やはり「母親の存在」なのでしょうか。
マザコンはそんなに「悪」なのでしょうか。確かに先述の冬彦さん親子のような、異常な母子愛で結ばれている親子は私もご遠慮申し上げたいところです。
しかし、そもそも母親を大事にするという気持ちとマザコンはちょっと違いますよね。母親を大事にしない男性は、自分の彼女や奥さんのことも大事にしてくれなさそうです。
「母親の味」も、それで育ってきたのだから味覚のベースとなっているのは当然ですし、男性に限ったことではないですよね。
過去の彼女のことを母親が知っているのも、きちんと彼が親に紹介してきたからだと思えば納得できます。しかし、これらの「さじ加減」が微妙に違うだけで、女性が受ける印象はまったく違ってしまうのです。
なにかあるごとに母親を比較対象にしたり、妻より母親を優先する夫の姿を予想させる男性の言動に対して、女性は非常に敏感にアンテナを張っているのです。
ただのCMだろう、とタカをくくっている男性のみなさん、実際にCMのYouTube動画の評価は低い方が多いようです。男性が思う以上に女性の目はシビアだということは間違いありません。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。